NPO支援センター基本計画(平成13年1月)
1. 基本コンセプトと支援の考え方
この基本計画に係るNPO支援センターは、NPO活動をはじめとする市民活動の一層の活性化を図り、活力ある豊かな地域社会づくりを進めるため、①市民やNPOの相互交流を促進するとともに、②行政、企業、NPOがNPO活動に関して協働する場とすることを基本コンセプトとする。
基本的には、ソフトとハードの基盤の整備を図り、全県的、総合的な支援等を行うものとし、その考え方は次のとおりとする。
- 間口の広い支援
このセンターにおける支援の対象は、①確立した組織体ばかりでなく、②将来的に組織的、継続的な活動を行うNPOへと成長することが期待される市民活動グループや③市民活動に関心を持つ市民などに対しても広く支援を行うものとする。 - 共通基盤を支援
県内には、福祉や国際交流など分野ごとの支援センターが既に存在し、各々の専門分野に係る支援が活発に行われているが、運営ノウハウや人材育成、情報、資金調達などの共通する基盤的部分に係る支援については不十分な状況にある。このため、①これらの分野ごとの支援センターや民間の支援センターと連携、協力しながら、②NPO等に共通する基盤を整備するための支援を行うものとする。 - 活動分野を超えて支援
NPO活動等は、分野を問わない相互の体験の交流を通じて促進され、また、新しい活動が創造されるものであり、今後、多様な分野のNPO等の情報交換や交流を推進していくことが求められる。しかし、県内にはこのような異分野の交流の機会や場が少ないことから、このセンターは、活動分野を超えて交流し、ネットワークができるような支援を行うとともに、集まりやすく、交流し、ふれあうことができるような仕組みとするものとする。 - パートナーシップに基づく支援
活動等に関するノウハウや経験は、NPO等の中に蓄積されていることから、支援は、これらの団体の参画によってより的確に行うことができるものである。このため、運営や事業展開にあたっては、NPO等とのパートナーシップ(協働)に基づいて行うものとする。
2. 基本的役割
上記のコンセプトや支援の考え方に基づき、このセンターは、次のような基本的な役割を担うものとして整備する。
- 多様なネットワークづくり
NPO活動等は、それぞれの分野を超えて情報交換を図り、交流することによって広がりや深みを増すのもであり、NPO等相互の交流等を通じてネットワーク化を推進することは重要な課題である。また、行政や企業との連携についても、活動に必要な情報収集、提供やパートナーシップの形成などを図るうえで大切である。
このため、様々な情報を収集、蓄積し、その情報を適切に提供するとともに、NPO等相互や様々な支援組織、行政、企業間における人的ネットワークや情報ネットワークなど、多様なネットワークづくりを行うものとする。 - NPO等の自立に向けた環境づくり
NPO等が自立的かつ継続的に活動できるものへと成長していくために、発展段階に応じた支援が行われるような環境の整備が必要である。
このため、活動場所の提供や資金調達の支援、運営や活動を活性化するためのノウハウの提供、社会的認知や支援の拡大など、NPO等が活動しやすい環境づくりを進めるものとする。 - NPO活動等を担う人材の育成
NPO活動等の活性化を促進するためには、組織運営のリーダーとなる人材の確保が不可欠であり、マネジメント能力を身につけた人材の育成が必要である。また、NPO活動等に自主的に参加する者の増加を図ることも重要な課題である。
このため、優れたマネジメント能力を有する人材の育成を図るとともに、潜在的な活動参加希望者に対する動機づけを行い、NPO活動等への参加を促進するものとする。 - NPO活動等の広報・啓発
NPO活動等を促進していくうえで、県民の理解の向上は不可欠の課題であるが、石川県内では認識や理解は必ずしも十分に浸透しているとは言えない状況が見られる。このため、より一層県民の理解を促進するための全県的な広報、啓発を行うものとする。
3. 主要機能及び主要事業
このセンターは、全県的なNPO等への支援や協働の推進を目的に設置するものであることから、活動の場の提供のほか、交流の促進や情報提供、相談、コーディネート、人材育成などのソフト面の機能が重要となるものであり、ハードとソフトの両面でNPO等を支援し、活動の活性化を図るものである。
また、今後市町村レベルでもNPO等にとってはより身近な支援センターの設置が進められるものと考えられるが、この支援センターは、それらをネットワークし補完するとともに、それらのモデルとして市町村からの相談や協力要請に応じていくものとする。
- 交流・ネットワーク機能
様々なNPO等が分野、地域、組織形態などを超え、相互に情報交換を行ったり、交流を深めたりできるよう、自由に活動や交流ができる場や仕組みを提供するとともに、交流促進のための事業を展開するものとする。
(事業例)- ア 交流サロンの設置
NPO等が気軽に打ち合わせ等を行える交流のためのスペースを確保するものとし、整備や運営にあたっては、利用者のアメニティにも配慮するものとする。 - イ 情報ネットワークシステムの整備
インターネットを通じた意見の交換によるネットワークづくりを推進するため、NPO・ボランティア情報のネットワークシステムを整備するものとする。 - ウ メールボックスの設置
メールボックスを設置し、各々が作成する機関誌やチラシ等の交換による情報交流を図るとともに、事務所を持たないNPO等が郵便やファックスなどを受領できるよう配慮するものとする。 - エ 交流会等の開催
NPO等が直接顔を合わせて意見交換をし交流することができるフォーラムの開催やNPO等と市民、企業、行政が交流し情報交換を図る交流会等を開催するものとする。
- ア 交流サロンの設置
- 情報収集・提供事業
NPO活動等の健全な育成を目指すためには、必要な情報が十分に提供される仕組みが不可欠であり、このセンターは情報収集、提供の拠点とするものとする。
(事業例)- ア データベースの構築等
県内のみならずあらゆるNPO等に関する情報を収集、蓄積し、そのデータベース化を図るとともに、情報ネットワークシステムを整備することにより、NPO等や県民が必要に応じ自由に情報を検索できるものとする。 - イ インターネット利用の促進
NPO等の情報能力の向上を図るため、パソコンの操作をはじめホームページの作成指導などを行う研修会を開催するものとする。また、このセンターに備え付けるパソコンの利用者に対する指導、助言についても配慮するものとする。 - ウ 情報誌の発行
必要な情報を提供するとともに、NPO等が自ら情報発信するための媒体として利用できる情報誌を定期的、継続的に発行するものとする。 - エ 図書、資料の収集、貸し出し等
NPOやボランティア等に関する図書等の収拾を図るとともに、閲覧したり、貸し出しができるものとする。
- ア データベースの構築等
- 活動の場の提供機能
NPO等の活動を支援するために、会議室やコピー、印刷機が使える作業コーナーなどのスペースや機器を整備するものとする。 - 相談、コーディネート機能
NPO等の要請に応じ、適切なコンサルティングを行うため、NPO活動に豊富な経験を有する者や法律、経理等に精通した相談員を配置するものとする。
また、活動への参加希望者やサービス利用希望者へのNPO等の紹介や、事業委託を推進するための企業、行政へのNPO等の紹介などのコーディネートを行うものとする。 - 資金調達支援機能
NPO等が安定的に活動資金を確保できるよう、企業等の資金助成情報の提供を行うなど、資金調達を側面的に支援するものとする。 - 人材育成機能
NPO等の活動を担う人材の育成を図るため、活動に必要とされる専門性の高い技術・ノウハウを習得できるよう、学習や研修機会の提供などを行うものとする。
(事業例)- ア マネジメント講座の開催
NPO等の運営に必要な知識やノウハウを学習するための講座を開催するものとする。 - イ 公開講座等の開催
潜在的な活動参加希望者向けの公開講座や、NPO等と市民、企業、行政が相互理解を深めるためのフォーラム等を開催するものとする。
- ア マネジメント講座の開催
- 調査・研究機能
大学等学術研究期間との連携を図り、NPO活動等に関する調査、研究を行うものとし、知識やノウハウを体系的、専門的に蓄積してくとともに、NPO等の事業評価手法や活動評価、各種研修や講習プログラムなどの研究を行うものとする。 - 広報・啓発活動
NPO等が発展するためには、県民の理解の向上が不可欠であり、このセンターでは、県民への広報を積極的に行い、啓発を推進するものとする。
(事業例)- ア シンポジウム等の開催
県民のNPO活動等への関心を喚起するため、シンポジウム等のイベントを開催するものとする。 - イ リーフレット等の作成、配布
NPO活動等を簡単に分かりやすく周知するためのリーフレット等を作成し、広く県民に配布するものとする。
また、このようなリーフレットやNPO等が作成した機関誌、チラシ等を置いたり、ポスターを掲示できるスペースを設けることにより広報を行うものとする。
- ア シンポジウム等の開催
4. 施設及び設備の内容
このセンターは、全県的にNPO等を支援する拠点として、県都である金沢市に設置するものとし、公共交通機関の利便に優れているなど利用者が使いやすいものとすること及び既存の施設を活用することを念頭に整備することとする。
施設や設備については、利用の実態等によりニーズが変化することも予測されるが、当面は次のとおりとするものとする。
- 施設
このセンターの整備にあたっては、NPO等と事務局の相互理解を深めることができるよう、活動スペースと事務局スペースは互いにオープンになるよう配慮するものとする。
活動スペースは、3に掲げる機能が十分果たせるようなゾーニングとし、また、できるかぎりバリアフリーや利用者のアメニティにも配慮したものとする。 - 設備
このセンターは、事務局のほか次の各コーナーを設置し、各々必要な設備を備えるものとする。- ・情報提供コーナー(掲示板、雑誌架、書架等)
・交流コーナー(テーブル、椅子、メールボックス等)
・パソコンコーナー(パソコン、プリンター等)
・作業コーナー(コピー機、印刷機、丁合機、紙折り機等)
・会議コーナー(会議机、椅子、黒板等)
・受付・相談コーナー(カウンター等)
- ・情報提供コーナー(掲示板、雑誌架、書架等)
5. 運営に関する基本的考え方
このセンターの管理運営については、県又は県の委託を受けた法人が行うものとし、次のとおりとするものとする。
- 運営方法
運営にあたっては、NPO等との連携、協働が図られるよう配慮するものとし、運営の方向性や事業の内容について、NPO等や市民の参加による運営協議会を設け、その運営も含めて、利用者の意見を聞きつつ、定期的に会議を開催しながら、必要な事項を決定していくものとする。
なお、運営協議会の立ち上げにあたっては、運営協議会設立準備会を組織し、設置に必要なルールづくりやメンバーの人選について検討を行うものとする。 - 利用に関するルール
このセンターの利用に関するルールについては、県が設置する施設であることから生じる基本的なルールのほかは、運営協議会で決定することを原則とするものとする。 - 開館日及び開館時間
週1回の休館日及び年末年始を除き、原則として開館するものとする。開館時間については、夜間も利用できるよう配慮するものとする。
6. 名称
このセンターの名称は、「石川県NPO活動支援センター」とする。また、愛着を持って利用されるよう親しみやすい愛称を公募するものとする。